2012年10月31日水曜日

中立山集落での生活②

メェ~!
山羊です。
毎朝(起きれない時もあるのですが)、山羊さんの大好きな雑草がある草むらへ連れて行くのが日課になっています。
ちなみに、奥手にいるのがメイちゃん♀で、手前がAちゃん♂です。

メイちゃんは女の子なのでミルクを出してくれるのですが、Aちゃんは男の子なのでミルクが出ません。
つまり、Aちゃんは食肉用に育てています。
名前を付けたら悲しくなるから、Aちゃんという名前になっているのですが、正直ローマ字にしたところで何の意味もありません…
もうすでに情が出てしまっていて、あの可愛いAちゃんを絞めてお肉をいただくなんてできる気がしません。
でもこれも、命を尊さや食事のありがたさを学ぶ機会です。
その時が来たら、頑張りましょう。


そして先日は、鶏の解体を手伝わせていただきました。
近くにある民宿さとみで、飼っている鶏7羽が全てイタチに殺されてしまって、その鶏のお肉をいただくために解体をしに行きました。

行く前は絶対できないと思っていたのが、死体を熱湯につけて羽をむしるとただのチキンにしか見えなくなって美味しそうに感じてきました。
さすがに解体はできないと思って、小暮さんが解体しているところを見ているとできる気がしてきて、1羽だけ包丁を入れて解体させていただきました。

上手には出来なかったけれど、一生懸命解体しました。


解体して感じたこと。
いつもは、スーパーで売っている白いトレイに入ったお肉をただ「食べ物」としか思っていなかった。
でもお肉は「食べ物」である以前に「生き物」であったということ。
「生き物」をいただくということにきちんと感謝するべきだと強く感じました。

話は変わりますが、映画「阿賀に生きる」の撮影された小林茂監督が、今回新潟県の豪雪地帯で「風の波紋」を製作されていて、この中立山にも数回撮影に来られています。



これは、先日小林茂監督が稲架場を背景に神楽の舞を撮影されていた時のものです。
目の前で見ると、とっても不思議でぞくぞくするような動きをしていてとても楽しめました。
伝統芸能をまじかで見れて、とてもいい体験をさせていただきました。
見ていると、僕も踊ってみたいと思いました。

こうやって、ここに来てから普段出会えないような人に出会い、普段できないような体験をし楽しませてもらっています。
本当に周りに方々に感謝感謝の毎日です。

ありがとうございます。

2012年10月26日金曜日

中立山集落での生活①

初めまして。滋賀県からこの新潟県中越地方の山奥地、中立山集落でインターン生として山の暮らしを研修させていただいている藤原智明です。

今日で、ここ中立山集落に来て2カ月が経ちました。

この2カ月間は、苦しいことと楽しいことが半々ぐらいの割合でした。
つまり、とっても充実している毎日を過ごさせていただいています。

8月25日の昼間に到着し、その日から茅葺き屋根の修復作業が始まり、炎天下の中、怒涛の日々が約1か月続きました。


これは、茅葺屋根の修復作業中の写真です。
最後の仕上げである鋏を使わせていただきました。
これは、槌を使い、茅を入れ込んでいるところです。




この他に、屋根裏で真っ黒の煤を顔にかぶりながらの針受け作業や、茅作り、それにロープの縛り方まで、たくさんの事を体験し学ばせていただきました。

この夏で、3件の茅葺屋根の修復に携わらせていただいたのですが、茅葺き屋根といってもそれぞれ形も違い、修復にも様々な手法があるらしく、お世話になっている小暮さんをはじめ、茅葺き職人たちがその場その場で話し合い、仕事を進めていく姿がとてもよかったです。

ですが、炎天下の中での作業はとてもつらかったです。
10時と3時のお茶の時間と、お昼ご飯の時間は、水分を取りまくりました。
時たま出る梨やスイカ、桃などの美味しさと言ったらもう半端ではありません!
すっごく美味しかったです。

この茅葺き作業では、津南などに行ったのですが、地元の方の訛りが全く聞き取れず、話を聞いて、流れに乗って笑顔でやり過ごしていました。
たまに、ふっと話を振られてもあたふたしてしまい、ここばっかりは難しいところです。
ここら辺の方は語尾に、「ごっつぉ」がつくことに気付きました。
少しづつ聞き取れるようになってきましたが、慣れるにはもう少しかかりそうです。

ちなみに、イギリスにも茅葺き屋根があるらしく、写真を見せていただいたのですが、とてもメルヘンな雰囲気でよかったです。
興味のある方は是非、調べてみてください。

そして、茅葺きが一段落ついたところで、稲刈りが始まりました。
稲刈りについても、とにかく知らないことだらけでした。

初めての稲刈りは、小暮さんの知り合いで小千谷市に住んでおられる阿部さんの田んぼのお手伝いでした。
腰につなぎを巻き、手狩りが始まりました。

初めての作業で最初はぎこちなかったのですが、だんだんと体が動きを覚えてゆき、とても楽しくできました。
しかし、その日の稲刈りが終わる間際に、指を切ってしまいました。

みなさんが口を揃えて言うことは、作業の始まりと終わりに怪我や事故が起こりやすいということ。
疲れが溜まってきた時や、終わり間際で緊張の糸が切れてきたときが危ないということです。

高い場所での作業が1日中続く時や、危険な道具を使っている際には、このことを注意していきます。

その日は阿部さん宅に泊まり、翌日の朝に帰ることになりました。
その夜は、計10人以上もの人が宴会が始まり、みなさんお酒が進み、大騒ぎでした。
僕もその日は特別にということで、缶ビールをいただきました。
まあ、いつも飲んでいるんですが…

この宴会では、凄いというか、変というか、背中の大きいおっちゃん達がいろいろ語ってくれました。
人生の中で、様々な経験をされているおっちゃん達の言葉には、軽い言葉がなく、頭を下げて聞くことしかできませんでした。
19歳といえども悩みというか、とてもたくさんの未熟なところがあって、そんな自分の変えたいところをズバリと言い当ててくれたり、自分だけでは気付けないところとか納得できないところも人に言われることで受け入れることもできて、なんせ元気をもらいました。

それに、小千谷にずっと住まれているお母さんがお子さんを連れきて、そのお子さんが生まれるまでの苦労の感動話を聞かせてくれて、宴会の場がなんかほんわかと温かい空間にもなり、最高に楽しかったです。

この2カ月間、思い返せばまだまだ書くことはありますが、これからは少しづつ更新していこうと思います。

ここ中立山周辺では、紅葉がとても見ごろになってきています。
風も日に日に冷たくなってきており、肌が秋を感じています。
森では木通や猿梨が実をつけ、柿や栗、きのこなど味覚も秋を感じています。

日に日に寒々しくなる季節、乾いた空気のなかではなぜか、愁いを帯びて思索にふける時間が多くなってしまいます。
でもそんな時間も好きです。

こんなに身体全体が秋を感じているのは初めてかもしれません!
楽しい!

ではまた!

2012年10月11日木曜日

地域の中の小学校


今回は、最近お邪魔する機会が多い東山小学校についてご紹介したいと思います。

東山小学校の第一印象は、緑がきれいで眺めの良い景色、木造の校舎、本当にすてきな小学校だと、まさに「ひとめぼれ」です!しかし、みためだけでなく、中身を知れば知るほどファンになる学校です。

現在小学校では、11月18日に開催される小学校創立十周年記念文化祭に向けての準備が進められています。5・6年生は先月の終わりから、総合学習の時間に文化祭で発表する劇の内容を話し合っています。

テーマは「牛太郎と闘牛、東山小の過去、現在、未来」。「牛太郎がいなかったら牛に触れなかった」「小千谷の闘牛は伝統を守っているところがすごい」などなど…、今まで闘牛について学習してきた内容をもとに、子どもたちが「伝えたいこと」を出し合ってテーマを決めていきました。十人前後での話し合いでは、「自分は当たらないといいなぁ」なんてそんなことは思っていられないですものね。みんな一生懸命考えていました。
毎回総合学習の時間に参加させていただいていますが、今後子どもたちがどのようなものを作り上げていくか、とても楽しみです!



校長先生から東山小の教育活動についてお話を伺ってきた中で感じた事は、「地域の中の学校」ということです。牛飼いの方のお宅へ泊まりに行く機会があり、学校の池に鯉を入れてくださる方がいたり、花壇へ一緒に花を植えたり…地域の人と子どもたちが顔の見える関係にあるのは東山ならではだと思いました。子どもたちが地域へ目を向けながら学び、それを地域の人たちも温かく見守っている。地域とつながりながら過ごす六年間は、他の場所では絶対に経験することのできない貴重な時間だと思います。


全校生徒は19人。同級生が少なかったり通学が大変だったりですが、そんな困難も吹き飛ばすくらいのパワーのある子どもたち、先生がいる学校です!




9日は読売子ども新聞の撮影でした。上空のヘリコプターから撮影してもらいました。
牛太郎も一緒です。どんな写真が撮れてるか楽しみですね♪      のん








2012年10月3日水曜日

栃尾に住んで

はじめまして、濱田和典です。
五月末から今現在まで栃尾の栃堀に住み始めて、早四ヶ月が経ちました。現在少量多品目の野菜を無農薬無化学肥料で育てている、農家さんで研修しています。

なぜこの栃尾という場所にきたのか?というのは、この地域にはある種のおおらかさを感じる、ということ。
僕自身、大学を躁鬱病で中退し、この栃尾へ来ました。ですが、そういったことを正直に言っても、この地域の人の態度が一変したり、あるいは腫れものに触るような扱いをされることは、少なくともこの三カ月では一度もありませんでした。
むしろそれを正直に言うと、笑いとばしてくれたり、それが?という風にそのまま接してくれる、そんなおおらかさを感じます。

そして、受け入れ先の人によくしてもらっているから。
そんな単純な理由が大きな部分を占めているのかも知れません。
ちなみに受け入れ先の家族の方々。暖かいです。
そんな家族のおおらかさにひかれてかどうかはわかりませんが、何しろ人がまあ大勢きます。六月の田植えの様子。この時に八人近いひとが手伝いに来てくれました。稲刈りも近日中に。
ちなみに数えてみたら既に今年だけで70名以上の方が刈屋さんちに訪れていたそうです。相当多いです。

さて、前置きが長くなりましたが、この栃尾という地域について。
正直僕もほとんど分かりません(すいません)
油揚げが美味しい、昔は機織りが盛んでそのせいもあって桑の木が今でも多い、繊維産業の町としても栄えていた、炭焼きが盛んだったこともあった、水がきれいな土地である、「越の鶴」や「景虎」など、おいしい日本酒の多い地域でもある、実は有数の美味しいお米のとれる産地
などなど、正直ガイドブックを読めばわかるようなことぐらいしか知りません。

地元の方々と接する機会で最も多いのが、イベントへの出店のとき。
ちなみにこれはカントリーフェスティバルというアメリカンの素朴なお祭りの栃尾版。
 
もちろん昔から続くお祭りもたくさんありますが(観音祭りや樽神輿祭りなどなど)、
新しく自分たちで一からお祭りを作り上げていこうとする試みがあることも、同時にこの地域の魅力だと思います。


でも、ありふれているかもしれないけど、純粋に「生きているなぁ」と感じる機会が、
この土地では多い。そう感じます。それが一番の魅力だと、僕は思います。

畑から帰ったときに見る夕日の美しさ、
とれたての野菜を畑でかじりつくおいしさ、
播いた種が芽を出した時の喜び。

春には田の水面に夕日が映し出され、初秋に稲穂が日に日に黄金色に染まる美しさ
そして、何気なく話しかけてくれる近所のおじさん。
外から来た僕の身の上を真剣に心配してくれる方。
そして面倒を見てくれる方。
地元の祭りを地域の人が、責任を持って果たしていくかっこよさ。
栃尾のお祭りにでれば、歩く人も出店している人もたいてい知り合い。

そんな、もしかしたら当たり前のことが、嬉しい。
そう感じます。

冬が来るまで、後一カ月半ほど。
この四カ月ちょっとの間に何が学べたのか、まだまだ僕自身にはわかりません。
一つ言えるのは、少しづつこの場所が僕の日常になってきているということ。
この先、このインターンが終わってから、自分がどうしていきたいのかはまだまだ闇の中ですが、インターン生として学ぶ期間を貰った以上、その後この地で独り立ちできるように準備を進めていきたいと思います。まだ遅々たるものですが。

蛇足ですが、現在研修中の「刈屋さんちの安心野菜」ブログhttp://blog.livedoor.jp/kariyabr/
でも、過去に数回文章を載せましたので、よければそちらもご覧下さい。

以上です、ありがとうございました。

濱田 和典