2012年11月29日木曜日

野菜の営み

こんにちは、栃尾の「刈屋さんちの安心野菜」で研修している濱田です。

早いもので、10月になるとかなり秋めいてきました。
朝寒すぎて目が覚めてしまうほどです。
冬が越せるかやや不安...

さて、今回は野菜の様子をメインに書きます。

これは株の様子。


間引こう間引こうと思っていたら、いつのまにか成長していました。
播種期が重なったので、ついつい目を離すと、あっという間に大きくなります。

これはラディッシュ。



ラディッシュも間引く以前にかなり成長しました。
もうほとんどがそのままひっこ抜けば、食べられるような状態です。



これは空芯菜。
夏も終わり、熱帯(中国だったと思います)が原産の空芯菜は、もう花を咲かせました。
今季にだすのは難しくなったようです。


これはさつまいも。
威勢がいいので掘ってみると、まだまだ根っこが太っていませんでした..
掘ってみないとわからないけど、掘ってから埋め戻すわけにはいかないのがつらいところです。
冬が来る前に掘りきって、腐らせないようにしたいなぁ。



ここにいると不思議なもので、
四季の移り変わりや天候に敏感になります。というよりならざるを得ません。
野菜がその変化を如実に反映してくれるから。
秋野菜が威勢を増す一方、夏野菜は段々と種を残すようになり、かなりの野菜に
花や種がつきました。
彼らにとっての一生は、今季であり、来年に向けて子孫を残そうとしているのですね。

このシーズンで芽をだすことなく一生を終え、また雨風や土の状態によって育ちきらずに
一生を終えた野菜もいました。
ソラマメを夏前に片づけたときは、どこか物悲しかったです。台風対策のために、前日雨が降る中で棒をたて、紐で結び、倒伏をなおし、つるをからませていました。
それらを全て引っこぬき、そこには何も残りませんでした。
ニンジンは米ぬかをまき、昔ながらの播種方法でやったけど、一つも出ず...
まだまだ他にも日の目を見ずに一生を終えた野菜が山ほどいました。
葉物が一つも芽が出なかったあとを耕うんしなおしたこともありました。

今季に花を咲かせ、種をつけている野菜はそんな苦難を乗り越えてきた野菜でした。
ですが、さらに悲しいことに、大半の野菜はF1という交配種であり、その種を来季に
つかうのは非常に難しいのです。
(固定種という、交雑しない種も存在して、刈屋さんちの安心野菜ではその種も多くつかっています。写真の株は固定種のもの)
仕組みは詳しくは分かりませんが、(遺伝的に遠かったり、違う野菜どうしのいい面のみ
を掛け合わせてつくったりするのだと思います)
まったく違うものが出来てしまうケースも多々あります。
今年の畑にも残りだねがあり、それが芽を出していましたが、去年植えた作物ではない
ものができていたりしました。

おいしいものが食べたいのは誰だって同じですが、こうして苦難を乗り越えて、
来季に向けて必死に種を残そうとする野菜の営みが、無になるのは、
素人ながらにどうなんだろう?
と感じてしまいます。なんだかいきものらしくないな、と感じてしまいます。


ちなみにこれは種どりようにしるしをつけたズッキーニ。


こちらも種どりようのオクラ。
どちらもいわゆる「固定種」というやつらしいです。

もう夏やさいの季節も終わり、段々と片づけはじめなければいけません。
でも、こうして種を残し、それが来年に繋がっていくのは、僕には喜ばしいことだと思います。

彼らの子供を育て、食べ、そしてその子供をまた育てる...
それは自己満足かもしれませんが、想像するだけでなんだか嬉しいものです。

研修生の持つ甘さでしかないかもしれませんが、こんな感情もあっていいんじゃないかな、
と思います。
というか、口に出さないだけで、農家さんは僕の何百倍も悔しさややるせなさを感じてきたけど、
商売として生計をなりたたせるために押し殺してきたものだと思うから。

昨日は、来年のために米ぬかを土にふりまきました。
おそらく今後は、夏の間に刈った草を、米ぬかと一緒に土の上にかけるでしょう。
去年から土においていた畳も、そろそろ分解されて来年には栄養になるのかな?
すぐにはつながらないこと、でも来年に、その子供たちがよく実るように。
もしかしたらその孫かもしれないけど。

そんな営みが続いていく、農家に研修しています。

ありがとうございました。

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